こんにちは。
最近読んだ本の感想を書くサトーです。
私はミステリーやサスペンスは、実行方法やトリックにばかり注目していたんですね。
でもこの本を読んで、謎解き以外に人間にもスポットライトを当てれば面白さが増すのか…!と目からウロコでした。
『ミステリーの人間学 英国古典探偵小説を読む』作品情報
| 書名 | ミステリーの人間学 英国古典探偵小説を読む |
| 著者 | 廣野由美子 |
| 発売年 | 2021 |
| ページ数 | 228 |
| ジャンル | 文学、外国文学小説 |
| 出版社 | 岩波書店 |
『ミステリーの人間学』は何について書かれた本?
この本は、ディケンズ、コリンズ、ドイル、クリスティー、チェスタトンなど、英国を代表するミステリー小説を取り上げ、謎解きだけではなく登場人物たちの心理や人間性に着目し、解説しているものです。
この本を読むと…
✓アーサー・コナン・ドイルや、G・K・チェスタトンがどんな経緯で名探偵シャーロック・ホームズやブラウン神父を生み出すことになったのか。また再登場した理由が分かる
✓名探偵だけではなく、アガサ・クリスティーやディケンズなど作者の人生についてもふれているため、時代背景が分かる
✓名探偵たちは謎解き意外に、人間のどこに注目して推理をしていたか、鍵は謎ではなく人間にあったことが分かる
✓探偵小説は「謎解き」だけではなく、登場人物の人間性も追求している芸術的価値の高い作品だと分かる
※この本では、取り上げた作品を詳細に解説しているため、一部ネタバレしていますので、未読の作品の場合は注意が必要です。
『ミステリーの人間学』の構成をチェック
●序章は、探偵小説の誕生から、実際の歴史に職業「探偵」が姿を現した経緯が書いてあります。ここは私は知らなかったので、かなり面白く読みました。
●第1章から第5章までは順に、ディケンズ、コリンズ、コナン・ドイル、チェスタトン、クリスティーとその作品群について書いてあります。
私が理解不能だった『木曜の男』の解説があったのは、ありがたかったです。
●終章では、その他にも有名な英国探偵小説を取り上げています。デュ・モーリアの『レベッカ』、デクスターの主任警部モースなど。
『ミステリーの人間学』感想と注意点
よかった点
まず、読んだことがある本や、知らなかった探偵小説がたくさん出てきたので、とてもワクワクしながら読みました。ページをめくる度に「これ読みたい!」という本が出てきて、積読候補リストがまた増えそうです。
印象的だったこと引用
事件の筋や謎解き、トリックといったテクストの表層を「高音部」とするならば、その「低音部」とは、人間性の探求と呼ぶべきものであるように思える。

なるほど~謎解きだけに注力すればゲームで終わるけど、人間性を探求すれば重層的になり、作品の深みが増すんだね
また著者はこんなことも書いています。
独裁政権の支配下にある国家や指示統制の強い国々では、探偵小説は根づかない。

探偵小説やミステリーが根づいている今の日本は平和な国ということか…
この平和、いつまで続くのかな…
クリスティーの現実的な思考に納得
アガサ・クリスティーは作家になる前は、薬剤師として薬局勤務だったそうです。これは知りませんでした。
で、小説の構想を練り始めたときに、
まず彼女が最初に考えたのは、「私は毒薬に取り囲まれているのだから、方法としては毒殺を選ぶのが自然だろう」ということだった。
凄いですね。この思考回路が現実的で自然です。
想像力豊かなのに、この現実的な思考をもっていたからこそ、アガサ・クリスティーはあれだけたくさんの面白い作品を生み出せたのでしょう。

なぜっていうと、夢見がちな人というのは、なかなかこの「自然な」考えに至ることが少ないと思われるから
木曜の男について【ネタバレ】
私が理解不能だった『木曜の男』についても解説がありました。以前こちらの記事で、AIに解説してもらいましたが、要はあの作品は、登場人物が見た壮大な「夢」らしいです。夢…
気になった点
先ほども書きましたが、登場人物たちの心理や人間性に着目している本なので、一部の作品を詳しく解説しています。
そのため小説に関するネタバレがいくつかあります。
私はまだ読んでいないコリンズの『白衣の女』について何ページにも渡って書いてあったので、ここは途中で読むのをやめました。
『白衣の女』を読んでから、改めて読んでみようと思います。

『白衣の女』読みたくなったよ…
ミス・マープルの名言
最後に、ミス・マープルの名言で締めたいと思います。
ミス・マープルの甥レイモンドが田舎をバカにして「セント・メアリ・ミード村は淀んだ水たまりだ」というと、ミス・マープルはこう返します。
「顕微鏡で見れば、淀んだ水たまりの一滴の水ほど生命に満ち溢れたものはありませんよ」
真理だ…宇宙にもつながる世界の真理だ…
『ミステリーの人間学』がおすすめな人
✓アガサ・クリスティーやコナン・ドイルなど、昔の英国探偵小説が好きで、その作者や背景まで知りたい人
✓ブラウン神父やミス・マープルが好きで、似たような英国ミステリーの作品をもっと知りたい人
✓ミステリー小説がゲームのような謎解きだけではなく、人間性も描いているからこそ、作品の価値が高いのだと解説してもらいたい人
著者について
著者はイギリス小説を専門にしていて、ジェイン・オースティンの小説などを研究しているそうです。
あとがきでは、著者がミステリー研究を取り組むことにした理由も書かれています。
著書『視線は人を殺すかーー小説論11講』、訳書『ミドルマーチ』1~4など多数。
●購入はこちらから


コメント