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【本】簡単には治癒できない『白い病』感想

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こんにちは。
さいきん読んだ本の感想を書くサトーです。

時代をさきどり?

戯曲『白い病』
カレル・チャペック

白い病が流行し、人々が死んでいく世界。
治療薬を作ったガレーン博士は、大学病院の一室を借りて
患者への治療をはじめます。
この病気は50歳前後の人が感染するという特徴があります。
つまり、その年代は権力者とか会社の重役とかが多いんですね。

治療薬の作り方はガレーン博士しか知りません。
ガレーン博士は貧しい人は治療しますが、
金持ちや権力者は治療しません。

権力者たちはガレーン博士に、
薬の作り方を教えろ、治療してくれ!
と頼むんですが、博士は条件を出して拒みます。
その条件とは
「戦争をしないでほしい。恒久平和条約を締結してほしい」

ところが戦争大好きの権力者たちはこれを拒みます。
病の治癒や平和よりも、戦争や死を選ぶんですね。

そうこうしてるうちに
病気は広がり、権力者たちも感染していきます。
彼らはガレーン博士に命乞いをします。
ガレーン博士は頑なに、条件をのまないなら治療はしないと言い続けます。

やがて戦争大好きな権力者により
戦争が始まってしまいます。
はてさて、彼らはどんな決断を下すのか・・・

1937年

読み始めてすこしして、
あ、これはCOVID-19の話だなと思ったんですね。
で、もう少し読んでいくと、
あ、これはロシアのウクライナ侵攻の話だなと思ったんですね。

で、この電子書籍の発行年を見ると2020年になっていたので、
こんな時期にこんなものを書き上げた凄い人がいるのか!
と驚いたんですよね。

ロシアのウクライナへの侵攻と、COVID-19を融合させて
戯曲にした人がいたのか・・・と。
でもね、違いました。

作者はカレル・チャペック
彼が生きていたのは1890~1938年。
チェコスロバキアの人気作家だったようです。
白い病』は晩年の1937年に発表。

カレルチャペックが生きたのは第一次世界大戦の時代です。
彼が住んでいたプラハは主戦場にはならなかったそうですが
それでも戦争の影響は受けたようです。
そんな時代の中で書かれた戯曲なんですね。

ちなみにスペイン風邪が流行したのが
1918~1920年ごろ。

カレルチャペックは、世界的に猛威をふるった流行り病と
大きな戦争を経験してるんですね。

緊迫感が徐々に高まって・・・

白い病の感染が広まり、戦争の気配が濃くなるにつれて
ガレーン博士が対峙する権力者も
ステージが上がっていくんですね。

最初は大学病院の責任者、次が武器工場の所有者
そして国のトップである元帥。

この、ステージの上げ方が、上手いなと思いました。
読んでいる側のボルテージの上げ方がね、上手いんですよね。
さすが当時の人気作家ですね。

緊迫感が徐々に高まっていって、釘付けになります。
戯曲だけあってきれいにまとまっているなと。
すごいですね。

ガレーン博士

ハッキリ言うと、ガレーン博士は治療薬を武器にして
権力者たちに「恒久平和を締結しろ」と脅しをかけるんですよね。

現実の世界で、しかもガレーン博士が住んでいるような国で
そんなことをしたら、すぐ捕まって拷問でもされて
治療薬の作り方を話すことになりそうなんですけど
そこは戯曲なので、そうはならないんですよね。

この薬(=相手の命)を人質にとって
自分の信条を相手に実行させるというのは
現実の医療関係者はできないと思います。

それをガレーン博士はやっちゃうんですよね。
なかなかショッキングです。

まとめ

流行り病の小説として、私が最初に頭に浮かんだのが
カミュペスト』です。
読んだことありますか?

私は読むのにめちゃくちゃ時間かかりましたし、
読んでいても難しかったです。
でも名作と言われるだけあって
読みごたえはありましたよ。
疲れましたけどね。

この戯曲は悲劇です。
一度広がってしまった「病」は、簡単には治癒できないんですね。

『白い病』はコロナ禍を経験して、
ロシアとウクライナの戦争をリアルタイムで見ている
私たちには考えさせられるものがあります。

それでは、お読みいただきありがとうございました♪

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